本年1月から野田内閣の国務大臣として、国家公安委員長並びに内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)、さらに拉致問題担当を兼務するようになって早くも半年が経過しようとしています。 野田総理から入閣のお話をいただいたときは、一見畑違いの複数の官庁の行政を任されるということで、若干戸惑うところもあったのですが、現在は、それらに共通する「国民生活の安心・安全を守る」という国家の基本的な機能を司る役割を担っているのだという自覚を常に持つに至りました。 特に消費者行政については、就任当時まず頭を過ぎったのが、忘れもしない2008年、まだ民主党が野党にあった時代に日本中を震撼させた「中国製毒ギョウザ事件」の衝撃です。当時は消費者庁が発足する前でもありましたが、グローバル化が進む中で、身近にある脅威から国民を守る行政の必要性を痛感したものです。以来、消費者目線の行政、食品の安全性の確保は、国家の治安や総合的な安全保障の問題でもあり、国政の課題としてゆるがせにできない問題であると確信いたしております。 また、デフレによる長い不況が続く中、GDPに占める個人消費の比率がきわめて大きくなっています。今や日本の経済の動向を左右する消費者を省みない政策などは考えられるものではありません。 大臣就任以来、数多くの消費者団体の代表の方たちとも意見交換を重ねてまいりました。そこで、私の中で醸成されたひとつの指針が、「国民的消費者目線」の提唱です。従来、消費者は生産者に対峙する形で存在し、消費者団体は生産者企業に対しその権利を主張し影響力を拡大させてきました。しかし、いわば国内経済の主人公ともなり、また社会に安全安心をもたらす「絆」というものが見直される中、消費者目線も従来の視点から、少し高い位置から社会全体を俯瞰するような国民的意識に基づく消費者目線というものが、今まさに求められているのではないかと考えています。国民生活が多様化し、高齢化も進む中、社会全体に目配りしながら均衡ある発展を目指す国民的消費者目線をもって、これからの国づくりに携わっていこうと思います。 そういう視点からも、今、問題となっている東京電力の料金値上げについて、私は消費者目線に立った行政をやる官庁の責任者として慎重な構えを崩すわけにはまいりません。国民生活の基である電気料金の値上げには国民的合意が不可欠です。事業者側の事情による一方的な値上げ要求には応じられません。どうやらこの一事をめぐっても、暑い夏を迎えることになりそうです。 このたび作成しました私の政治活動用ポスターにも「国民的消費者目線。」を堂々と謳いました。今後、折に触れ、「国民的消費者目線」とは何かについてお話をして参りたいと思っています。
このたび、国家公安委員会委員長、内閣府特命担当大臣(消費者および食品安全)および拉致問題担当大臣を拝命いたしました松原仁でございます。 総理からは、1.国民の安全を確保するために、治安の確保に全力で取り組む。2.最近のサイバー空間における脅威や悪質・巧妙化する暴力団情勢に的確に対応するため、法整備を含めた新たな治安対策に取り組む。3.東日本大震災の被災地や被災者の安全・安心の確保を図るとともに、大震災の教訓を踏まえた今後の災害対応能力の向上に努める。4.国民の健康を守るため、関係大臣と密接に連携し、精算から消費まで食の安全・安心を総合的に確保する。特に、国民の不安の強い、放射性物質加羅の食の安全・安心の確保に全力を尽くす。5.事業者中心の行政を転換し、消費者や地域の現場の視点を大胆に取り込むという消費者庁発足当時の理念を踏まえ、消費者の安全・安心を高める消費者行政を強力に推進する。このため、消費者事故等の調査機関を設置する等の法案を国会に提出し、成立を期す。6.国の責任において、拉致問題の解決に取り組み、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国に向けて全力を尽くす。また、公正取引委員会に関する事務を担当させる。とのご指示がありました。(国家公安委員会委員長) 政府の治安対策の責任者である国家公安委員会委員長という重責を担うことになり、身の引き締まる思いであります。 国家公安委員会委員長としては、まず、東日本大震災による行方不明者の捜索、被災地における安全・安心を確保するための諸活動等を引き続き推進していく必要があると認識しております。併せて災害及び各種事案に対する危機管理にも万全を期してまいる所存です。 また、暴力団対策やサイバー空間の脅威への対策が治安対策上の重要課題であり、取り締まりの徹底はもとより、法整備や関係機関、各種業界等と連携した社会全体の取り組みの強化が必要であると認識しております。 総理からのご指示を踏まえ、国民の安全を確保するため各種対策を強力に推進するよう指導してまいります。(内閣府特命担当大臣(消費者および食品安全)) 消費者行政については、消費者庁・消費者委員会は発足から2年5カ月となりますが、消費者・生活者が主役となる社会に向け、ますます多くの課題に直面しています。 このため、消費者庁が消費者行政の司令塔として、震災復興の取り組みを含めた消費者の安全・安心の確保、消費者事故等の情報収集・分析・対応の強化。地方消費者行政の強化などに、一層しっかりと取り組むようにして参ります また、消費者委員会が、消費者行政全般に対する監視機能を発揮できるよう努めてまいります。 食品安全については、食の安全は国民の命を守っていく上で重要な政策課題であり、国民の健康の保護を最優先に、科学的知見に基づき、食品の安全性を確保することに、全力を尽くしてまいります。(拉致問題担当大臣) 拉致問題は、我が国に対する主権侵害勝拉致被害者にとっては憤りを抑えきれない重大な人権侵害です。 私は超党派の国会議員で構成する「北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟」で10年以上にわたり、この問題と携わってきて、この問題の重大さと責任の大きさを痛感しております。 一方、目に見える具体的な成果、進展がない状態が続いており、これまで携わってきた者の一人として、大変、残念にまた申し訳なく思っております。 拉致問題については、野田総理を本部長とする拉致問題対策本部の下、御家族等へのきめ細やかな対応、情報の収集・分析の供花、関係国等との国際的連携の強化などについて、関係省庁と力を合わせて取り組まれてきているところです。 私としては、拉致問題担当大臣の立場として、野田総理をお支えするとともに、昨年12月の金正日国防委員長の死去を受け、情報収集体制等の強化に一層努め、引き続き、拉致問題対策本部を中心に、国の責任において、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国に向けて全力を尽くす所存です。(公正取引委員会に関する事務) 独占禁止政策を中心とする競争政策については、審判制度廃止等を内容とする独占禁止法の改正法案が閉会中審査となっているところ、同法案の成立に全力を尽くすなど、公正かつ自由な競争を確保するための基盤整備を図るべく、全力で職務に当らせていただく所存です。 野田内閣の一員として、精いっぱい努めさせていただく所存でございますので、なにとぞよろしくお願いいたします。(1月13日 大臣就任記者会見より)