この一週間、チベットにおいて大規模な騒乱が発生している。その原因はまさしく中国政府によるチベットの非合理的併合および、その後の人権弾圧、文化破壊にあることは明白と考える。 先般、ダライラマ法王と民主党鳩山由紀夫幹事長が会見をする席に同席したが、まさにラサにおける人口も、本来何千年も前から、そこに居住しているチベット人よりも、この20年間に入植した中国人の方が人口的に勝っているということが指摘され、今、そこで行われているのは、文化破壊、文化弾圧であると指摘がされた。 今日において、ある報道によると、チベット地域において、公的空間においては中国語が使用され、またチベットの学校においても平常時には、中国語の教育が為され、外国のマスコミが入るときのみ、チベット語による教育が行われているという。 これが真実であるとすると、極めて巧妙な同化政策が為されていると言わざるを得ない。すなわちチベットの文化破壊である。 さらに、今日、チベット経済の上位は入植した中国人が独占し、チベット人はそうした中国人の下働きとしての仕事しか与えられないといった不満が増大しているとも言われる。 こうした中で、昨日夕方、私を含む民主党有志は鳩山由紀夫さんを中心にして団結をし、中国政府のチベットに対する人道的対応を要請する記者会見を行った。 そのポイントは、国際的調査団の派遣を中国は受け入れるべきであり、そのことによって、はじめて今回の騒動の真実が明らかになるということ。 また、中国は人道的な見地からこのチベット問題を解決すべきであるということ。 さらには、その原因となったことを除去することを強く要望する内容となっている。 この原因とは、すなわち文化破壊をやめること、人権弾圧をやめること、更に完全なる自治の確立を目指すことなどである。 私の感想を申し上げるならば、この記者会見についてテレビ局は5、6社が取材に来、更に大手を中心に多くの新聞社が集まった。 その後、私は本稿を書くまでの間、なるべくマスコミの報道に最新の注意を払ってみてきたが、わずか産経新聞に今回のわれわれの挙は小さく取り上げられた程度であった。 かねてから、中国政府の圧力によって、中国に対してマイナスになるような報道をするマスメディアは、北京オリンピックを取材するにおいて悪い扱いを受けかねないという話がまことしやかに語られてきたが、このことと何やら符合するかのようである。 産経は日本のマスコミの中で唯一中国から追い出された経緯があって、中国政府の圧力に屈しないマスコミなのかもしれぬとも考えた。今回の鳩山氏を中心としたわれわれのチベット問題における要望の記者会見が、結果として産経新聞以外、ほとんど報ぜられていなかったことは人権を尊重する我が国とそのマスコミのあり方としてははなはだ残念であると言わざるを得ない。しかし、我々は今後も毅然として中国であれ、相手がどこの国であろうと、言うべきことは主張していきたいと考える。 なお、昨日の記者会見で、発表した声明書は下記のとおりである。 平成20年3月17日 チベット情勢の人道的解決を望む今回のチベットにおける暴動は49年間の中国のチベット人権弾圧、文化破壊に遠因があると言わざるを得ない。これに対し、ダライ・ラマ法王とチベット人は、一貫して対話と非暴力によって問題を解決しようと努めてきた。しかし、未だ問題の解決には至っていない。毎年3月10日に行われるチベット人による「平和蜂起記念日」がこのようなことになり、誠に残念である。中国政府は真実を明らかにすると共に、人道上の見地に立って根本的な原因を除去すべく問題解決に努力すべきである。その為にも、国際調査団の派遣を検討すべきである。我が国政府は、即刻、中国政府に問題の理性的解決のため、あくまでも人権を尊重し事態の収拾を図るよう強く求めることを要望する。また、中国政府もダライ・ラマ法王と直接交渉し、和平を作り出すような度量の大きさをみせてほしい。 衆議院議員 鳩山由紀夫 民主党所属国会議員有志一同