今回、民主党内において、外国人地方参政権の議論が、委員会を作って進められている(永住外国人地方選挙権検討委員会)。私はその中では、いわゆる慎重派に属するものであるが、これを大いに議論することには否定的ではない。 先日、在日本大韓民国民団(以下 民団)の団長がこの委員会に賛成派の代表として出席された。私は率直に質問をさせていただいた。「もし、地方政治に対して参加をしたいということがそこに住む人間の根源的な欲求であるとするならば、地方参政権というのは、単に選挙権だけではなく、被選挙権をも含むものであるのではないか?」 それに対して彼は極めて率直に、当然我々は、選挙権だけではなく、政治家として立候補する権利、すなわち被選挙権をも求めていきたい。しかし世論調査によると、地方選挙権については60%近くが付与してもいいという結果だが、立候補する権利については、それが30%台であり、まずは前者を実現することを当面の目標とするという発言をされた。 私は彼らとは立場は異なるものの、真実を言うその発言には、彼らの論理としては一貫性があるものと感じた。 これに対して、いわゆる賛成派の民主党議員は、被選挙権の話は関係なく、あくまでも議論は地方参政権の選挙権の部分だけであると主張している。私が、民団の団長の発言による被選挙権についての認識を確認しても明快な答えがなされなかった。 少なくとも、選挙権と被選挙権についての議論すらない今の地方参政権議論は、極めて低調なものと言わざるを得ないと考える。さて私自身は、中田宏横浜市長を迎えての議論に、慎重派の趣旨は網羅されていると考える。勿論、納税をしていると言うことは、その対価は行政サービスであり、参政権でないことも彼は指摘したし、地方のことが、国家の重要事になるケースも指摘された。例えば、原発問題や、基地問題などである。 また中田市長は、わずか数パーセントしかいない有権者によって政治は影響されないと言う暴論に対して、その数パーセントが、キャステングボートを握ることがあると言うことを指摘し、また、横浜では、学校問題などで仮に、地方参政権が付与されれば、何らかの行政上の課題が発生するかもしれないと言う感想を述べた。 もとより、彼は、7年前に私が事務局長を務め、当時衆議院議員であった上田清司・現埼玉県知事を座長として十数回にもわたって外国人地方参政権の勉強会をともに続けてきた同志であるだけに、共感するところが多かった。 こうした議論は積み重ねられてきたが、問題はその委員会の進め方であった。 国会の会期終了した後ということもあり、特にこの夏は、与野党ともに関が原のごとき戦いを控えた大切な時期である。議員はそれぞれ地元に戻って地域活動を真剣に行うことが肝要である。その結果、これほどの重要なことであるにもかかわらず議員の参加は少なく、少人数で議論が進むのをよいことに、法案推進者はこの機に一任を取り付ける勢いであった。 私はそのあまりにも強引な進め方に終に我慢が出来なくなり、この問題の賛成反対を超えて、そうした進め方の問題について意識を共有する有志と署名を集めざるを得なかったのである。 結局2日間で50人を超える署名が集まり、8月1日に長島昭久議員、蓮舫議員らとともに、渡部恒三議員に対し、賛成派、慎重派双方を含む51名の連名による「要望書」を提出せざるを得なかったということをここに報告しておきたい。