黎智英裁判における「国境を越えた人権弾圧と主権侵害」を非難する声明

人権外交を超党派で考える議員連盟として、さる3月8日に林芳正官房長官に黎智英裁判における「国境を越えた人権弾圧と主権侵害」を非難する声明文をお渡しいたしました。

日本政府としてこの人権弾圧に対して毅然たる対応を求めます。

声明内容は以下の通りです。

黎智英裁判における「国境を越えた人権弾圧と主権侵害」を非難する声明

本年1月2日、香港の民主活動家黎智英(ジミー・ライ)氏を国家安全維持法(国安法) 違反に問う裁判の起訴状において、3名の政治家及び人権活動家が「共謀者」との指摘を受けた。前衆議院議員の菅野志桜里氏(当時山尾志桜里議員)、IPAC (対中政策に関する列国議員連盟)事務局長で英国籍のルーク・ド・プルフォード氏、政策面でIPACと連携する米国籍ロビイストのビル・プラウダー氏である。

そもそも国安法は、国家分裂・政権転覆・テロ・外国勢力との結託という各構成要件の不明確性や、恣意的な域外適用の可能性、ひいては政府批判を封じる言論統制の手段として政治利用される危険性が指摘されてきた。中国の人権問題に関与する外国籍の政治家及び活動家を同法の「共謀者」と見做す裁判が開始されたことは、当該危険性のより深刻な現実化というべき事態である。

我々人権外交議連は、中国を含めた国際的な人権問題に対して問題を指摘し、人権侵害制裁法や人権DD法など国際人権問題の予防・救済に叶う法制度を提言してきた。かかる議連の一員としての菅野氏の活動が、国安法の適用により犯罪化されることは到底看過できない。特に、日本の国会議員(当時)による平和的な言論、外交活動を「外国勢力との結託」等の罪名のもと刑事裁判の対象とすることは、日本の民主主義プロセスへの露骨な介入であると同時に日本の主権を侵害する行為である。このたびの黎智英氏裁判における国境を越えた人権弾圧と主権侵害行為を強く非難する。

なお、同法が施行された2020年6月30日、日本政府は「国際社会や香港市民の強い懸念にもかかわらず」同法が制定されたことに「遺憾の意を表明」し「引き続き状況を注視する」との外務大臣談話を発表している。立法府における自国の国会議員(当時)の活動が同法違反の誹りを受けた以上、日本政府には以下のことを求める。

①邦人保護に万全を期すこと

②本件裁判を注視するにとどまらず、起訴状の確認など詳細を調査把握すること

③時期を逸さず非難声明を発出すること

④中国政府および香港政府との間に締結している刑事共助条約につき、国家安全維持法違反事件に関する協力拒否を言明すること

われわれ人権外交議連は、決して政治活動を委縮することなく、引き続き国際人権問題の予防・救済という責務を全うしていくことを改めてここに宣言する。

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