中国による日本の領土領海侵犯に備える外交安全保障を~令和4年3月23日衆議院外務委員会質疑より

令和4年3月23日衆議院外務委員会質疑

私まつばら仁は、今回のウクライナにおける戦争は、大きな衝撃であるだけではなく、そういったことを権威主義の国家はやるんだと、強い怒り、憤りを感じます。

我が国の場合はどうなんだろうか。同じようなことを権威主義の国家というのはやる可能性があると思います。

今回のウクライナ危機を見てG7の国々を中心として法の支配、そして自由、人権を尊重する共有の価値観を持つ国家が団結をして経済制裁をしたり、犯罪者の個人資産の凍結を行っている。そういった権威主義の国家が日本の様々な領土、領海に侵入をする場合に、我々は、事前にコンセンサスをつくっておく。これが我々の、自由と人権と法の下の平等を共通の価値観とする国家における安全保障だろうと私は思っています。

米中会談について

アメリ力は中国がロシアに対して経済支援するときには制裁の対象とするというふうに考えているかどうか?

【答弁】先般行われた米中首脳オンライン会談においては、バイデン大統領から習近平主席に対して、ウクライナの都市や市民に対して残忍な攻撃を行っているロシアに仮に中国が物的支援を提供した場合の影響と代償について説明したと承知しております。

中国とロシアというのは、極めて独裁色の強い国家であろう。

中国とロシアの関係に関して、バイデン氏は、物的な支援をする場合、代償を払わすことがあるとの警告を発した。

アメリカが中国に代償を払わせるとした場合、日本は日米同盟の国家として当然米国とともにその代償を払わせることがあるかどうか?

【答弁】ロシアによるウクライナ侵略については今こそ国際秩序の根幹を守り抜くため、国際秩序の根幹を守り抜くため、国際社会が結束して毅然と対応することが必要であり、米国を始めとする同志国と連携して中国に対しても責任ある行動を求める、所存です。

要するに、アメリカと一緒にやりますよ。こういうことを今おっしやったわけであります。

今回のウクライナ戦争について

国連安保理常任理事国、すべて核保有国です。ロシアが侵略行為を行った今回のウクライナ戦争を見ると、安保理の常任理事図がこういった犯罪的行為をした場合に安保理は機能していない。このような国連でこれからの世界の平和を維持できるのか?
国連の改革をする必要があるのではないか?

【林外相:答弁】 国連でございますが、常任理事田には拒否権があり、米ソ冷戦時代には国連が国際の平和と安全の維持の機能を果たすことができなかった。
国際社会の平和と安全に大きな責任を持つ国連安全保障理事会の常任理事国であるロシアの暴挙は国連が抱える問題を改めて提起するものでありまして、新たな国際秩序の枠組みの必要性、これを示していると考えております。安保理改革については、我が国は長年安保理改革の必要性を訴え、積極的に活動してまいったわけでございます。今般、トルコとUAEを訪問してまいりましたけれども、それぞれの外相会談においても、この安保理の間題点に ついては提起をしてきたところでございます。
各国の複雑な利害が絡み合う安保理改革、および、日本の常任理事国入りに全力を挙げてまいりたい。

現実には、常任理事国、五つの大国が責任を全うできませんでしたといって、なかなか荒唐無稽だというふうに言われるかもしれないが、安保理が一定のいわゆる間題解決能力を示すには五大団が拒否権を持っているということが完全にネックになっている。多数決でやるというのは、リアリティーを持つかどうか分からないけれども、やはり五つの常任理事国が、こんな犯罪的な行為をしているわけですから、そこが拒否権を持たなくなるということが最大の安保理改革だと思っております。

バイデン大統領は、第三次世界大戦を招来させたくない、こう言って直接介入はしないわけであります。第三次世界大戦とは具体的にどういうイメージでしょうか?

【答弁】 バイデン大統領は、アメリカがウクライナをめぐってロシアと武力衝突に至ることを指して第三次世界大戦という表現を使っているものと承知しています。

アメリカは、国連安保常任理事国であり、かつ核保有であるロシアに対して抑制的な対応し かできていない。今後、常任理事国の中からならず者国家が現れた場合、アメリカは抑制的な対応しか取らないのであれば、ならず者国家が自分の目的を達成することが阻止できなくなる。こういったリスクに対してどうお考えか?

【林外相:答弁】 日本の領土が侵略をされるような場合と仮置きした上でお答えをいたしますと
アメリカは累次の機会に、日米安保条約の下での自国の対日防衛義務を確認してきております。本年1月の日米首脳テレビ会談においても、バイデン大統領はこの点を改めて表明をされております。今年の1月に行いました日米2プラス2においても、米側から、核を含むあらゆる種類の能力を用いた日米安保条約の下での日本の防衛、これに対する揺るぎないコミットメントが表明をされています。日本政府として、米国が条約上の義務を果たすということに全幅の信頼を置いておるところでございます。

今回、ロシアによる市民の攻撃で避難場所である学校等が破壊され、多くの死傷者が発生していると言われております。これはジェノサイドに当たるかどうか?

【林外相:答弁】 国際刑事裁判所、ICCに関するローマ規程上、ジェノサイド、集団殺害犯罪とは、国民的、民族的、人種的又は宗教的な集団の全部又は一部に対し、その集団自体を破壊する意図をもって行う殺害などの行為とされておりまして、そうしたジェノサイドがあったかどうかに ついては、現地の状況等を把握する必要があり、確定的なことは申し上げられませんが、国際刑事裁判所、ICCの検察官による捜査や今後の事態の展開を注視していく考えでございます。
我が国としても、3月2日の国連総会決議及び3月4日の外相会合共同声明、また、並びにその後の更なる戦争犯罪の懸念の高まりを踏まえて、ICCの捜査への支持を明確化する観点から、ICCに付託をしたところです。

ICCが判断するということですが、ジェノサイドのおそれがあるということは日本の政府は主体的な意見表明をするべきです。

今回のウクライナ侵略を踏まえれば、今後、インド太平洋地域や東アジアにおいて、同様の事態が日本において発生することは否定できない。

我が国は専守防衛を掲げているが、今回のような他国からの攻撃に際して防衛省・自衛隊はしつかり対応できるか?

【答弁】 我が国に対して武力攻撃が発生し、武力行使の三要件が満たされる場合、我が国は、当該の武力攻撃を排除するため、自衛権の行使として武力を行使して対処することになります。
御指摘の専守防衛については、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢でありまして、このような我が国の防衛のための武力の行使は、専守防衛の考え方とも整合するものです。
その上で申し上げますが、我が国の領土、領海、領空、国民の命と平和な暮らしを守り抜くことは 政府の最も重大な責務であります。
今回のウクライナ侵略のような力による一方的な現状変更をインド太平洋、とりわけ東アジアで許すわけにはまいりません。今回のウクライナ侵略をしつかりと分析し、新たな国家安全保障戦略等を策定し、国民の命や暮らしを守り抜くため、我が国の防衛力を抜本的に強化してまいります。

日本の防衛について

ウクライナのように 自国の領域に他国の軍隊が一方的に侵入してきた場合、その排除のためには当然実力行使を行う。この場合、武力攻撃の発生を認定するための組織的、計画的な攻撃が行われているということを判断するのは誰なのか?

【答弁】 一般論として申し上げれば、我が国に対して武力攻撃が発生し、武力行使の三要件が満たされる場合、自衛隊は当該の武力攻撃を排除するため武力を行使して対処することになります。我が国に対する武力攻撃とは、基本的には我が国の領士、領海、領空に対する組織的、計画的な武力の行使をいうものです。
武力攻撃事態に至ったときは、事態対処法第9条などに基づき、政府は事態の経緯、事態の認定及び当該認定の前提となった事実などを明記した対処基本方針案を作成し、国家安全保障会議の審議を経て閣議決定をすることとなります。さらに、その後、直ちに国会の承認を求めることになります。

どこかの国が、どこかの国連安保理常任理事国が日本に対して攻撃をするということが事前にインテリジェンスで分かっ ているときには、そのインテリジェンスを用いて、あらかじめ対処するような即応態勢が取れるかどうか?

サイバー攻撃に対してはどうか?

【答弁】 あらゆる事態に準備をして、かつ、どのようなことが起こっても対処できるように準備をするということは当然のことであります。

サイバー攻撃について、もし御質間がサイバー攻撃だけで武力攻撃になり得るのかということであるとすると、物理的な攻撃と同様な大きな披害が生ずるような場合であるとか、そういった場合には、そのサイバー攻撃が我が国の武力行使の前提となる相手による武力攻撃を構成することもあり得るというのが、一般論でございますが、政府の立場であります。

今回、ウクライナ攻略で、ロシア兵の戦死者は千人単位であります。日本匡内に侵入してきた敵部隊をせん滅、そして殺傷、排除するということは、専守防衛の範囲内で行うことができるという認識でよろしいということだろうと思っています。

その上で、我が国の自衛隊等の反撃によって撤退中の敵部隊、ただ、この状況は、敵が日本に対しての攻撃をまだ継続しているということでありますが、当然、その攻撃というのは可能である、この認識で間違いありませんか?

我が国に対して武力攻撃が発生し、武力の行使の三要件が満たされる場合、そして、当該の武力攻撃が継続しておれば、自衛隊はこれを排除するため武力を行使して対処することが可能であります。

今のウクライナで起こっているウクライナ軍の反撃に関しては、同様のことが日本でできるということを私は今の議論から確信をします。その上で、実際に日本においてこのようなことが起こる可能性に関しては、これは未知数でありますが、こういったことを含めて、我々は、ミサイルやサイバー攻撃等が行われる可能性があると。

また、今、テクノロジーの進化によって戦争の形態というのは大きく変わってきている。テクノロジーの進化によって、従来と違って、はるか遠方から日本に対するミサイル攻撃もできるようになる。一発目のミサイルが来て、二発目、三発目のミサイルに対して何もしないで、日本における様々な被害を受けるのを甘んずることもできないだろう。

あえて言うならば、先制攻撃ではない部分において敵基地攻撃能力も議論をしていくべき時期に来ているということを申し上げます。

尖閣諸島について

尖閣諸島については、国連安保理常任理事国である大国である中国が、我々に対して様々な行動を取ってくる可能性がある。日本の領地、領海を侵す可能性がある。

尖閣諸島の歴史的経緯について、江戸時代から、1945年、日本が敗戦をして米国が統治下に置くまでのプロセスを簡単に御説明いただきたい。

【答弁】 尖閣諸島については、1885年以降、日本政府が沖縄県当局などを通じて再三にわたり現地調査を行った結果、単に無人島であるだけでなく、清国を始めどの国の支配も及ばないことを慎重に確認したものです。その上で、日本政府は、1895年1月14日に閣議決定を行い、正式にこれを日本の領土に編入しました。この行為は、国際法上、正当に領有権を取得するためのやり方に合致しています。
1896年には、民間の実業家が明治政府の許可を得て尖閣諸島の本格的な開拓を開始しました。これによって多くの日本人が尖閣諸島に居住し、漁業を中心に、かつおぶし工場や羽毛の採取などに従事することになりました。このように、明治 政府が尖閣諸島の利用について個人に許可を与え、許可を受けた者がこれに基づいて同諸島において公然と事業活動を行うことができたという事実は、同諸島に対する日本の有効な支配を示すものです。
第二次世界大戦後、日本の領土を法的に確定した1951年のサンフランシスコ平和条約において、尖閣諸島は、同条約第二条に基づいて日本が放棄した領土には含まれず、同条約第三条に基づいて南西諸島の一部として米国の施政権に置かれました。1972年発効の沖縄返還協定によって日本に施政権が返還された地域に尖閣諸島が含まれており、尖閣諸島は、戦後秩序と国際法の体系の中で一貫して日本の領土として扱われてきたものです。

中国は一貫して、アメリカの統治下のときに、これはどうだこうだという話はしていない。

何で、沖縄返還と同時に尖閣が日本に移管されたときに、ここに対して適切な管理をしてこなかったのか?

【林外相:答弁】 尖閣諸島及び周辺海域、これを安定的に維持管理するための具体的な方策に つきましては、様々な対応がありますが、尖閣諸島が我が国固有の領土であるということは歴史的にも国際法上も疑いがなく、現に我が国はこれを有効に支配をしております。このことは、御指摘今ありましたような対応があったか否かにより変わるものではないというふうに考えております。

本当は最初に、初動で何らかの行動をするべきだったと私は思います。非常に残念であります。尖閣のリスクに関して、中国海警局に所属する船舶の活動及び海上保安庁の対応をご説明ください。

【答弁】 尖閣諸島周辺海域においては、ほぼ毎日、中国海警局に所属する船舶が確認されています。海上保安庁では、常に尖閣諸島周辺海域に巡視船を配備して領海警備に当たっており、中国海警局に 所属する船舶への対応に ついては、相手勢力を上回る巡視船で対応するなど、万全の領海警備体制を確保しております。
また、我が国領海に接近する中国海警局に所属する船舶に対し、領海に侵入しないよう瞥告を実施するとともに、領海に侵入する中国洵瞥局に所属する船舶に対しては、領海からの退去要求や進路規制を繰り返し実施し、領海外へ退去させております。
尖閣諸島周辺海域における情勢は依然として予断を許さない厳しい状況にありますが、海上保安庁では、引き続き、我が匡の領士、領海を断固として守り抜くという方針の下、関係機関と緊密に連携し、冷静に、かつ毅然として対応を続け、領海警備に万全を期してまいります。

国連海洋法条約について

日本側のいわゆる排他的経済水域200海里にある海底地下資源はどのぐらいあるのか?

【答弁】 日本の排他的経済水域を含む、いわゆる日本近海におきます石油、天然ガスの埋蔵量について、原油に関しましては26万kl、これは日本の消費量の約半日分、天然ガスは約二億立方メートル、これは消費量の約一日分、の埋蔵が確認されてございます。
今後の資源探査活勁を通じまして更に埋蔵量が増加することも見込まれます。さらに、非在来型の天然ガス資源の一種であるメタンハイドレート、これも、太平洋側に賦存している砂層型と言われるものに関しましては日本の消費量の約十年分の存在が確認されております。
加えて、レアメタル等の海洋鉱物資源についても、現在、資源埋蔵量の把握を進めているところでございますけれども、例えば、レアアース泥に関しましては、南鳥島沖周辺に相当量の存在を確認して、現在、更に追加の調査を内閣府において進めています。

中国の何かが日本の地下資源を調べるようなことがあってはいけない。メタンハイドレートを含むレアメタル資源等に関してももっと徹底的に日本政府は調べる努力をするべきだろうと思っております。

排他的経済水域についての日本側の主張と中国側の主張はどうなっていますか?

東シナ海における排他的経済水域についての主張の違いについて、
我が国は、国連海洋法条約の関連規定に某づき、傾海基線から二百海里までの排他的経済水域及び大陸棚の権原を有している。東シナ海を挟んで向かい合っている日中それぞれの領海基線の間の距離は四百海里未満であるので、双方の二百海里までの排他的経済水域及び大陸棚が重なり合う部分について、日中間の合意により境界を画定する必要があります。
国連海洋法条約の関連規定及び国際判例に照らせば、このような水域において境界を画定するに当たっては、中間線を基に境界を画定することが衡平な解決になるというふうにされている。これに対して、中国側は、東シナ海における境界画定について、大陸棚の自然延長、大陸と島の対比などの東シナ海の特性を踏まえて行うべきであるというふうにしており、中間線による境界画定は認められないとした上で、中国側が想定する具体的な境界線を示すことなく、大陸棚について沖縄卜ラフまで自然延長している旨主張しています。しかし、国連海洋法条約の関連規定及び国際判例に基づけば、大陸棚を沖縄トラフまで主張できるとの中国の考えは根拠に欠けると我が方としては考えております。
このような前提に立って、これまで我が国は、境界が未画定の海域では少なくとも中間線から日本側の水域において我が国が主権的権利及び管轄権を行使できるとの立場を取ってきています。これは中間線以遠、そこより遠い部分の権原を放棄したということでは全くなく、あくまでも境界が画定されるまでの間は取りあえず中間線までの水域で主権的権利及び管轄権を国際法に従って行使するとういうことであります。

常識的には、従来の慣例的なものでいくと、中間線が画定していない排他的経済水域における資源開発というのはなかなかできない、こういうふうな認識であります。

私がこの外務委員会で、二十年ぐらい前に質問したときに、ちょうど白樺の、中国が採掘をしていた、このことに関して外務委員会で私は質間したわけでありますが、中国側は中国側の認識で、常識的には中間線が画定していないところは資源開発はしないけれども、やっているようですという答弁があったわけでした。

このガス田開発が中国によって行われた、やはりこれは、一方的にガス田開発を日本側の主張と中国側の主張が妥結をしていない段階でやったということは、当時においては非常に納得できないものだと私は主張した記憶があります

日本の排他的経済水域において、中国が一方的な資源開発を行う事態が生じた場合、我が国の領海外であるものの、我が国の平和安全維持、国際平和のための努力の寄与といった現行外為法上の要件を満たすと評価し、当該円に経済制裁を発動できるようにすべきと考える。

【林外相:答弁】 近年、中国は東シナ海において資源開発を活発化させておりまして、日中の地理的中間線の中国側で、これまでに計十六基の構造物、これを確認しております。
我が国としては、いまだ東シナ海の排他的経済水域及び大陸棚の境界が画定していない状況において、中匡が 一方的な開発行為やその既成事実化の試みを進めていることは極めて遺葱であり、これまでも累次にわたり、一方的な開発行為やその既成事実化の試みを中止するように求めております。
その上で申し上げますと、今、松原委員からお話のありました外為法に基づく措置等を含めて、今後、日本としていかなる事態に具体的にどう行動するかについては、個別具体的な状況を踏まえて検討されるべきであり、予断をもってお答えすることは控えたい。

ロシア・中国のような権威主義国家から日本を守るために

私は、その国家における情報統制等が強く行われた場合は、極めて独裁的な権力を持つ、独裁的な権力を持つ場合にはそういったことがやりやすくなる。今回のプーチンもそうであります。かつて、ヒトラーもそうでありますし、プーチンもそうでありますし、またルカシ ェンコ・このベラルーシの大統領も極めて独裁的な状況になってきて、こういったプーチンのような暴発的な野蛮な犯罪者的な行為をする、許す国家になってしまった。

したがって、我々は、そういった芽を摘むということを含めて、一定の独裁的な状況に権威主義の国家がなったときには、あらかじめG7の国々を中心にして、一朝事あったときには即座に犯罪者に対する個人資産の凍結を行うというふうな連携をしていく必要があるだろうと思います。

その上で、中国のいわゆる反外国制裁法やロシアの情報に関しての統制、これに関して簡単に御説明ください。

【答弁】 中国の反外国制裁法というのは、
外国からの制裁への対抗措置を規定するものとして、2021年6月に 中国側において採択されたもの。中国側は、この法律に基づいて、これまで、米国の、新彊ウイグル自治区であるとか香港、台湾をめぐる制裁や措置に対して対抗措置を行う旨発表してきている。

【答弁】 ロシアの情報統制について
3月4日でございますけれども、ロシア軍の使用に関して、故意に虚偽の情報を公に拡散した者に対しては刑事罰及び行政罰を科す法律がロシア連邦諮会で採択され、大統領の署名を経て発効されたと承知しております。この法律に違反した場合、違反の内容、形態等に応じて、最大で三百から五百万ルーブルの罰金、五年から十年の自由剥奪刑が科され、さらに 重人な結果をもたらした場合は十年から十五年の自由剥奪刑が科されます。
この法律は、ロシア国民のみならず外国人をも対象としております。この法律成立を受けて、外国メディアがロシアでの活動を停止せざるを得ない状況となっていることを懸念してございます。

結局、中国のこの法律もロシアの法律も、極めて、報道規制をし、報道規制だけではなくて個人の発言に 対しても大変に抑圧的であります。

ロシアのプーチン政権が、極めて、報道規制をし、個人の発言を抑制し、すぐに 何だったら刑務所へ入れるぞ、こういう話になってくる。プラカードを出しただけで捕まってしまう映像は、テレビでも報道されているとおりであります。

中国の場合も、これは、新彊ウイグル自治区の問題だけに限らず、全てのそういったことに 対して、中国政府に 対してネガティプな行動をした場合は、極めて人為的に、例えば、  般的なマグニツキー法を作ろうというふうなことをやったグループや個人が入国を拒否される、更には資産が凍結されるというふうなことまで行われる。

つまり、中国以外、ロシア以外の人間に対しても、これを貫徹をし、権威主義に従わない者は許さないぞということが、中国、ロシアにおける今の状況になっているというふうに思っております。

こういった独裁的なレベル、言論統制も含めて、そういう国家に対しては、あらかじめG7の国々は団結をして、犯罪者になり得る可能性、申し訳ないけれどもこれはやはり想定しなきゃいけない、今回のプーチンも同じであります、ということであれば、それの個人資産の凍結を含む、国際社会、同じ価値観を共有するG7の社会がこれに対して団結をし、事前に取り組む 必要があると私ははっきり思っております。ロシアの事例はロシアだけでとど まるものではない可能性が私はあると思っている。

このことについて、林大臣は、きちっと対応する、連携をして対応する意思を、やはりG7の一翼を担う日本の外務大臣として、この場でお示しをいただきたい。

【林外相:答弁】 なかなか深くて難しい課題でございますけれども、まず、経済制裁、一般的にこの原因となる行為や経済制裁の種類、程度、また、そうした制裁措置を受ける可能性のある国などの受け止め方は様々でございますから、一概に申し上げることは困難でございます。G7を始めとした国際社会、これがやはり協調して取り組むということで実効性を高めていくことが重要であるわけでございます。
個別具体的なことは申し上げませんけれども、その時々の国際情勢をしつかりと考慮しながら、G7、これは価値観を共有するG7でございますから、G7を始めとする国際社会、同志国と連携しながら総合的にしっかりと判断をして対処してまいらなければならないと思っております。

いずれにしても、あらかじめ団結をしておいて、国連安保理のある常任理事国が日本に攻め込んでくる、日本の領海、領空を侵す、彼らが意思を持ってやってきたというときに初めて気がついて動くのではない。

あらかじめ、独裁的な水準というのは言論統制を見れば明らかですから、ここまで来たときにはそういったことがある、返り血が大きいからどうしようとか、その場でいろいろと考えるのではなくて、そのときに向かっての順序立てをやはり政治はしていかなければ、これはやはり我々の貴い価値観を守ることはできないと思っております。

外務当局の方々も、防衛当局の方々も、経済産業関係の方々も、このことは肝に銘じていただいて、とりわけ林大臣にはこのことを強く要請します。

以上。令和4年3月23日衆議院外務委員会でのまつばら仁の質疑とその答弁をご紹介いたしました。

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