松原仁の活動を報告いたします。
平成十二年七月からの三宅島雄山噴火による災害は、火山噴火の歴史で例を見ない大量の火山ガスの噴出が長期にわたり継続し、現在もその危険が去る見通しがたっていない。そのため、島民は、今日まで約二年の避難生活を余儀なくされており、帰宅の見通しがたたず、前例のない状況に置かれている。しかも、東京から海路六時間半の離島であることから、島民は島内に残した財産の保全が極めて困難である。 現在、火山活動は、全体として低下途上にあり、火山ガスの放出量は、長期的には減少傾向にあると言われているが、今後の正確な見通しはたっていない。また、島民の帰島に備え、二酸化硫黄の濃度を警戒しながら、砂防工事等の生活の安全を確保する基盤整備が進められている。さらに、昨年七月からは、島民の日帰り帰宅も開始された。 こうした状況の中で、すべての島民は、一日も早い帰島の実現を望んでおり、島民の避難生活は、慣れない環境の下、生業の目処も立たず、精神的に、また経済的にも限界にあるといえる。 全島避難から約二年を経過しようとしている現在、避難島民を支援し、希望の光を与えるためにも、火山ガスとの共存を前提とした、帰島に向けた段階的な行動計画を明らかにすることが必要である。 政府は、三宅島噴火災害の特殊性にかんがみ、避難島民の生活支援を継続、充実するとともに、東京都及び三宅村と緊密な連携を図り、左記の事項について、万全を期すべきである。 1 避難島民の生活支援を継続するとともに、特に高齢者及び生活困窮者に対し、就労の機会を確保するとともに、生活保護法の弾力的運用等の避難生活の支援措置を講ずること。 2 被災者が抱える既往債務への必要な支援措置を講ずること。 3 一時帰島の費用の軽減のため、さらなる支援措置を講ずること。 4 活動火山対策特別措置法を早期に適用すること。 5 火山ガスの観測体制を強化するとともに、各集落へのクリーンハウスの設置をすること等により、財産保全のため短期滞在の帰島ができるよう、環境整備の措置を講ずること。 6 被災者生活再建支援の観点から、宅地内の降灰除去及び家屋補修等について支援措置を講ずること。 7 帰島後の被災住民が安心して暮らせるよう、泥流対策等のため必要な火山砂防激甚災害対策特別緊急事業、火山治山激甚災害対策特別緊急事業等を着実に実施すること。 8 帰島後の生活及び事業が速やかに再開できるよう、関係機関は連携を強め、各般にわたる支援措置を早期に明らかにするとともに、必要な立法措置のための調査研究等を含め、適切な対応を行うこと。 9 三宅島火山活動の学術的調査研究の充実強化を図ること。 右決議する。
平成14年5月16日