まつばら仁に聴く

政治家を志したきっかけは何ですか?

私は幼い頃から動物が大好きで、家では犬や小鳥を飼っていたのですが、動物たちのそばに寄り添い心を込めて世話をすることで、私はいつも、一つひとつの命の重さというものを肌で感じていたように思います。

私は、政治も同じだと考えています。国民一人ひとりの方々をどれだけ大切に思い心を尽くすことができるか。私の政治の原点はまさにここにあると思います。

また、私は早稲田の学生だった頃、雄弁会に所属していましたがそれとは別に、人に会うことで自分を磨こうという趣旨の「人物研究会」というサークルをつくりました。手始めに、ボランティアの仕事をさせていただいたことで知り合った中川一郎先生を呼ぼうと企画し、大学4年の5月、大隈講堂に1500人もの学生を集めたことがあります。これをきっかけにサークルもにわかに活気づき、当初5、6人だったメンバーが一気に80名までふくれあがりました。こうした大きなイベントを成功させるためには、皆の団結力が必要です。こうした経験は私の人生において得難い貴重なものだったと改めて思いますね。

そのような子供時代、学生時代の経験もあってのことですが、私が政治家になろうと思ったのは、一度しかない人生だからこそ「生きた!」と思える人生を歩みたいと思ったからです。ただ、直接的なきっかけになったのは、やはり、松下幸之助先生との出会いにあるのではないでしょうか。

私は、大学時代に「松下政経塾」を受けました。その試験のとき松下先生に言われた、今でも深く印象に残っている言葉があります。それは「君は運があるか」という言葉です。それを問われた私は「私には運があります!」と答えました。そして私は合格しました。「運は、あると思えばある。だから君には運はある」。先生のこの言葉は後の私の大きな励みになりました。

最初の都議会選で落選した時に、皆が私にいいました「松原さん、もうちょっとだったのに運がなかったね」と。しかし松下幸之助先生はこうおっしゃったのです。「お前、運があるな。半年の準備で17,000票、惜敗じゃないか。次点だぞ。運があるじゃないか」と。僕は目からうろこがおちました。

運があると思うことはポジティブシンキングだと思うんです

「君には運がある」という先生の言葉を大切にして、今後も自信を持って邁進していく所存です。

どんな世の中にしていきたいと思っていますか?

お目にかかった外国の方々に最近よく言われるのは、「日本人にはアニマルマインドがない」ということです。「アニマルマインド」とは、何か面白いものを見つけ出す嗅覚とそれに食らいついていく勇気や、それを楽しむドキドキ、ワクワクとする気持ちといったところでしょうか。

かつての日本を振り返れば、私は、日本人には外に向かっていこうとする大きなエネルギーの塊が確かにあったと思っています。ならばその熱い塊…アニマルマインドを取り戻すためにはどうすれいばいいのか。まず一つ、外交上の努力、教育上の努力が必要だということが言えると思います。一方で、新しい国家戦略として考えていく必要があると思うのです。

現代社会において、世界が統合されていくなかで、グローバルスタンダードを持つ国が成功する時代と言われています。私は、世界のルールをどこまで日本のルールに適用できるか、つまりルールを作り、いかにグローバルスタンダードをシェアすることができるかが、国家戦略上とても重要なことだと考えています。決められたルールのなかで頑張ろうというのが、律儀な日本の国民性の素晴らしい部分とも言えるのですが、世界の多くの国々は、ルールそのものを変えて自国の国益を有利に展開しようという、もっとドラスティックなことを考えているのが現実です。そして、それが現実であり重要であると考えられている今、日本ももっとそこに参画するべき、アニマルマインドの精神から言えば、食いついていくべきなのではないでしょうか。

私は、今の内向きの日本を変えるには、自信を持った国家をつくる必要があると考えます。それはやはり政治の役割です。「自信のない日本を自信のある国家にしたい」。私は政治家としてそれを目指していきたいと思っています。